神横会金田一連絡板
神保町横溝倶楽部同人誌関連のことなど。
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【重要】著作権及びその他の権利について。
同人誌作成の話が出た時より問題に上がっていた著作権のことなど。
現役編集部員のS・Fさんより一般的な著作権関連のことについて教えていただきました。
詳細は記事下部の『詳細はこちら>>』からご覧ください。
ただ、市場に流通する書籍と極私的出版物である同人誌における著作権意識は
かなり違っているので、ここに同人的見地よりちょっと書かせていただきます。
今回の金田一同人誌は、横溝正史の小説(=オリジナル、または、一次創作)に登場する
金田一耕助というキャラに関わる諸々の個人的創作(=二次創作)という位置付けになります。
但し厳密に言うとそれは自由投稿作品を指し、論文形式の研究の方は『作品研究』となるので、
二次『創作』ではありません。
(注;研究論文メインの本と自由投稿本、2冊作る予定です)
同人誌=個人が売る自費出版本というのは『市場に流通する自費出版本』とは性質を異にし、
あくまで個人で楽しむものと限定した上で、二次創作に関わってくる著作権について実際には
グレーゾーンのド真ん中(ややクロ寄りも多い)だったりします。
そもそも、ある作品が好き!で二次創作をするのに通常は関係者に許可等もらっていませんから、
一般的常識から逸脱していなければ同人誌として販売する分には概ね問題とはされません。
(原作者や関係者へ必ず許可を取らねばならなくなったら今の様に気軽に同人誌など作れません)
しかし今回は木魚庵さんの拘りもあり、著作権がより問題になるのは作品研究の方です。
二次創作本は執筆者が自分がかきたい物をかくという自由投稿形式をとりますので、
著作権云々権利が云々等と縛ってしまうと作る側も読む側も楽しめません。
【参考までに】
印刷会社の入稿時原稿確認や同人誌即売系イベントでスタッフに事前チェックされるポイントは…
・文章よりも写真や絵等パッと見て目に入るものに問題がないか?(主にR指定図画に関して)
・修正無しでの無断転載。(これも主に図版に関して。模写、モザイク等の加工してあればセーフ)
・文章は殆どノーチェック→講演会などの原稿書き起こしについてもそれ程問題とされない
(前後、またはいずれかに感想や私見を入れれば尚可)
商業誌的な著作権意識とはかなり異なりますが、不安になられた方はご相談下さい。
また、送って頂いた原稿をこちらで校正する際に問題があればご連絡さしあげます。
とりあえず、まずは原稿を書いて(描いて)送ってみて下さい。
どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
乾
〈著作権〉
著作権は「個人の創作的な表現物」について、その作者に付与されるもので、小説、写真、絵画、デザイン、諸々が当てはまります。著作物を他者が使用する場合、著作権者からの許諾を得ることが大前提になります。
〈許諾を得ないで使える範囲〉
ただし、許諾を得ないで使用できる規定があって、大きく分けて「私的使用」と「引用」です。前者は同人誌など、公になるものについては当てはまらないと思われますので、後者「引用」の条件をもとに、他人の著作物を使うことになります。この条件をクリアすれば雑誌の表紙だろうと文庫本の書影だろうと、映像作品のキャプチャであろうと、(理論上は)使うことができます。
〈引用の条件〉
引用の条件として、
ア:既に公表されている著作物であること
イ :「公正な慣行」に合致すること
ウ :報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
エ :引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
オ :カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
カ :引用を行う「必然性」があること
キ :「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
↑を満たす必要があります。
〈実際には?〉
「横溝作品出版表紙絵の変遷から考える金田一耕助像の変遷」というテーマで絵として現れた金田一像の変遷の自説を展開し、その中で例証として表紙絵を引用するのは大丈夫だと思います。しかし、「私の好きな金田一」でいきなり表紙絵を出して「これが好きなんです!」とだけコメントつけるのは危険です(主従関係が明確ではないし、必然性もない)。
〈こんなのにもある著作権〉
著作権は文字として表されたものだけでなく、たとえば講演の内容にも発生します。イベントレポートとして講演の全文書き起こしなどを入れるのは危険です。レポートとして自分の文章があり、そのなかでの「報道」などの目的に添って「必然性」があり「必要な分」だけを書き起こすことが必要です。
〈著作権に似た諸権利〉
「所有権」として、その著作物を所持している者の権利があります。文庫本の表紙絵の著作権はその画家にある(はず)ですが、表紙絵に追加されたタイトルなどを含めた「表紙」については出版社がその権利を所有していますので、「タイトルを含めた」表紙の転載には出版社の許諾が必要です。逆をいえば、画家の許諾を得れば出版社から許諾を得ずとも表紙絵を利用できる可能性があります(ただし、原図を自分で撮影するなどの処理が必要)。
また、「肖像権(人格権)」も重要です。つまり、誰かを写真に撮った場合、その写真のメディアへの掲載は被写体の許諾が必要になる、ということです。コスプレイベントなどについては撮影されることが前提であるので掲載に許諾を取る必要はないという話もありますが、イベント主催者が規定をしている場合もあり、要確認です。同時に、映像作品についてもその中にはっきりと俳優が映っているならばその人(か事務所)からの許諾をえる必要がある、という話もあり、何時まで経っても復刻されない映像作品はこの辺りが足かせになっているという噂です。
〈著作権保護期間〉
著作権は著作者の死後50年を持って保護期間が切れます。1981年に亡くなった横溝正史なら2031年。雑誌の表紙など、団体名義のものは発行から50年経っていれば保護期間は終わっています。
〈著作権侵害の実際〉
著作権法違反の際には著作権者による差止請求と損害賠償請求が待っています。刑事罰もありますが、基本的には親告罪(著作権者からの告発をもとに捜査が始まる)となります。商業出版で著作権問題が発生した場合、当該書籍の回収と担当編集および法務担当者による謝罪、執筆者からの詫び状を先方に出して手打ち・・・というパターンが大半かと思われます。ただし、同人誌でこうした対応をとるのは結構面倒でもあります(先方も面倒かと思いあんまり手を出してはこないかと思いますが)。ただ、万が一・・・に備えて、規則に則った原稿を書いていただくのが安心かと思われます。
〈早い話が〉
木魚庵さんもおっしゃるように、著作権の保護下にありそうなものを使いたい場合は事前に相談し、後で騒ぎの起きない手段をとるのが一番、という事になります。
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